2013年3月20日水曜日

自分が我慢した人は、我慢しない人を許せない




◇どうしてそんなに子どもを叱るの?虐待かしら?


 

・主治医とお母さんの会話①


先生、私、また娘を叩いちゃって。
平手打ちをしたら、娘が転んで頭をぶつけ、
それから顔を打って、鼻血と頭が、血だらけになって…


ええ、そりゃ大変だ


娘はワーワー泣いて、
ママ、ママ、って…抱きついてくるんで私またイライラしてしまって、
あんたがわるいんでしょ!って、言ってしまったんです。


これは虐待ですよね…


まあ、そういうことが続くと、そうなっちゃいますよね


私、どうしても娘にイライラしちゃうんです。
幼稚園から帰ってきたら、まず着替えなきゃいけないのに、
「ママあのね…」といってしゃべいたがります。
ちょっと我慢すればいいのに。
娘は我慢が足りないんです。



待てないんですね。


ええ、わがままで、我慢が足りないんです。
私、そういう娘をみていると
ついイライラしてしまって…


許せないんですね。


そうなんです…


お母さんも忙しいからね。パンパンになっていますか?


ええ、もうパンパンです。


頑張っているんですね


いえ、頑張りが足りないんです。


そうなんですか


ええ、もう少し我慢して、頑張らないといけないんです。


我慢が足りない?


そうまだ我慢が足りない、頑張らないとダメです。


そうやって、頑張ってきたんですね。
よくやってきたじゃないですか


ええっ!?


あなたがよく頑張ってきたといったんですよ


私が、ですか?


そう


(急に勢いを失って黙ってしまった。そして)
頑張れないんです


そうですね。よくやってきたから疲れたんですよ。
こういうときは少し休んだらいいですよ


でも…



お母さんがあんまり頑張りすぎると頑張れない真美ちゃん(娘の名前)のことを
もっと嫌いになっちゃいますよ


ええッ!?










 

■娘の中に「許せない自分」を見る



頑張れない自分は嫌いだ。
わがままを言ってしまう自分は嫌いだ。
娘の中にその嫌いな自分をみてしまうから、娘に怒りが止まらなくなる。
自分は「そんな時はいつも」我慢してきたはずなのに、私の娘は我慢がきかない…。許せない。


子どもに感じる親の怒りは、自分への裏返しなのだ。


虐待を受けて育った母親は自分の子を虐待する、という連鎖がそこにある。

虐待を耐え忍んで生き延びた母親こそ、自分の子の甘えやわがままを許せないのだ。







 

・主治医とお母さんの会話②


先生に前回、私の子どものころのことを言われて
いろんなことを思い出しました。
私、親の言うことを聴いて、顔色見て、こうしちゃいけない、ここは我慢しなくちゃいけないって
思って生きてきたんですね。
小さい頃から母には自分のことをあまり言わなかった。
何か言うと母はキーってなってしまうんです。
何倍か返される。
だから、自分でできることは黙ってやる子になったんだと思います。


そうですね、あなたはよく我慢して、よく頑張ってきたんですよ。


それで、ちょっとのことで甘えてきたり我慢できない娘をみると、すごくイライラするんですね。
娘がかわいそう…
(お母さんは涙ぐんでいた)
















 

■「人間は我慢するべきである」というスキーマが苦しみを増幅させる


「人間として当然こうあるべき」というスキーマ(認知)が染み付いている人は、
我慢していない人間を観ると怒りが沸いています。


自分の中にある「人間は我慢するべき生き物」という正義の逆を行く人を否定しないと、
自分が壊れてしまうと思うからです。







話が長い上司以外にも、世の中には色々な人が居ます。

意見を求めておいて、まったく聞き入れない、人の話しをきかない人。
行きたい場所、食べたいものなど自分で決められず、何でも他人任せにする人。
人から助けてもらっても「ありがとう」の一言が言えない人。
「うらやましい~」「いいな~」が口癖になっている、羨望体質の人。
「だからダメなんだよ」など、常に上から目線でものを言ったり、すぐに怒鳴ったりする、偉そうな人。
こういう人たちは、多くの人をイライラさせていることでしょう。
イライラは「自分が困った状況に置かれている」ことを知らせる感情だという事をお話しましたが、
このような人たちを見たときに、仮に直接自分が言われたわけでなくてもイライラするのはなぜでしょうか。

それは「どしてあなたはそんななの?「どうしてそんな言い方をするの?」という気持ちになるからです。

つまり、あなたが「人間として当然こうあるべき」と思っている姿と、現実の相手がずれている、ということです。

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