2013年3月10日日曜日

離婚から子どもの心を守る




◇離婚の傷を子どもにまで与えない

この世に幸せな離婚などというものはない。
離婚が親子全員にトラウマをもたらすことは避けられない。


そこで大切なことは、離婚は夫婦間だけの問題であって、子どもには関係ないのだということを
真に理解することである。

離婚した後もしっかりした心の結びつきを維持する責任は夫婦ともにある。



多くの人が離婚をためらる理由の一つに「子どもがいるから」をあげます。
また「両親は自分がいるから離婚できない」と子どもが罪悪感を抱くような環境もまた、問題があります。


ですから、離婚のどの部分が子どもにどういう影響を与えるのかをよく知って適切に対応することが重要です。





離婚後、子どもが父母どちらかと一緒に暮らすことになるにせよ、
片方の親がいなくなってしまうと、子どもの心に大きな傷を与えてしまう。

ここで忘れてはならないのは、家族に向かって何かネガティブなことが起きると、子どもはほぼ必ずといっていいほど、
それが自分のせいではないかと感じるということである。
子どもには、「離婚はすべて親の責任であり、子どものせいではない」ということをはっきりと教えてあげなければならない。






 


■子どもがいる場合の配慮


今まで一緒に暮らしていた一方の親がいなくなります。
それぞれの親との関係性が変わり、場合によっては一方と、ずっとあえなくなるということもあります。

兄弟で別れ別れになることもあります。

それまで「普通の家庭」だったのが「特殊な家庭」になります。
周りが自分を見る目も変わります。

転居を伴うことも多いです。
姓が変わる子もいます。




このような変化は、どんなタイプの離婚であっても必然的に経験しなければならないものですが
これらは実は、子どもの心に深刻なダメージを残る性質のものではありません。


確かに大変な変化ですが
子どもは半年から一年でこの変化にだいたい適応するということが知られています。
つまり、大切な人が亡くなったときと同じで
時の経過と共に癒える性質のものだということです。

ただし、という条件があります。



こちらの方が重要です。
ただし、両親の不仲が離婚後に持つ越されなければ、なのです。

 






■どんな親であっても親として重要な意味を持つ


離婚によって両親の不仲が終結する場合には離婚後一年以降は
子どもの発育に殆ど問題ない、という研究結果も発表されています。


問題は、両親の不仲が離婚後に持ち越される場合です。

お互いの悪口を言い続ける、
「悪い親だから」と、会うことが決まっている日に会わせない、
子どもが悪いことをしたときに「あなたは別れたお父さんにそっくり」などと
もう一方の親を引き合いに出して責める、などということは子どもの成長を損ねます。

子どもにとっては、どんな親であっても親として重要な意味をもっています。


子どもはどんな親であっても喜ばせたいという気持ちを持っているものですし
嫌な親であっても人から悪口を言われるのは嫌なのです。


その親同士がお互いの悪口を言うのですから大変です。

解決しようとすることはどちらかの「肩を持つ」ことになってしまい、
子どもは身動きが取れなくなってしまう。


子供によっては同居している親の肩を持ち、別居している親に愛情を感じることに
罪悪感を抱き過剰に嫌う態度をとる、などということも起こってきますが、
子どもにとって自分の親に愛情を感じることに罪悪感を覚えなければならないという構造は
自尊心の低下や様々な精神的な問題につながります。



両親の間にはさまれてしまうと
子どもは悩みを自分で引き受けざるを得ません。
うつ、不安、いろいろな身体症状が出てきたり
性的逸脱や非行など様々な問題がでてきたいるするのはこんなときです。




 





■子どもとしての時間を与える



離婚後、子どもが居なくなった親の役割を代わりに果たそうとすることも
一つのリスクです。
この傾向は特に、自分と同性の親を失った場合には強くなると言われています。
母親と息子の家庭は息子は父親の役を担おうとし父親と娘の家庭では
娘は母親の役を担おうとするのです。

もちろん、家事を手伝うなど物理的に子どもの協力が必要な
部分は協力してもらうしかないのですが
それでも子どもは子どもです。


子どもとして、親に支えられて安心していられる時間は健康な成長のために必要です。


また、将来適切な親離れを可能にするためにも、
「親は親、自分は自分」という感覚を育てていくことが大切です。
遊びや甘えなど子どもとしての時間が持てるように配慮し、
また折に触れて
「親に気を遣わずに自分の事を考えて良い」というメッセージを
伝えてあげたいものです。

また、「子どもをそっとしておきた」という気遣いの結果、
本当の事情を子どもに殆ど知らせない、
ということがあります。

思春期の患者さんなどに
親の離婚の事情を知っているかと聞くと
知らないと答えることも案外多いものなのです。

そのことについてどう思っているかと尋ねると本当は知りたいけれども
親に気を遣ってしまって聞けない、というのが多くの子どもが言うことなのです。


「両親と自分との距離感の変化」を乗り越えるには
自分に起こったことの意味を自分なりに理解し位置づける必要があります。
本当のところ自分に何が起こったのかがわからなければ、このプロセスを進めていくことが出来ません。

小さな子どもであれば、
理解可能な年齢になるまで脚色した話を伝えるというやり方が必要かもしれませんが
思春期の子どもは理解力もあるし嘘が嫌いです。



本当の事情を知りたいかを尋ねて、子どもが知りたいといったら
話してあげたほうが良いでしょう。






2 件のコメント:

  1. ごめんなさい、「おもしろい」にチェックしたけど、おもしろがっちゃいけないよね。

    さっき教えてくれた人がいて、いま見始めてるんですが、すごく興味深いブログです。
    たぶん私のと志向がちょっとにてると思う、よかったら私のも見てみてください。

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    1. コメントありがとうございます。
      funnyではなくinterestingという意味で面白い、と思って頂けたのだと理解します!





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