2016年11月10日木曜日

トランプ氏が当選した理由は【政治の見える化】をしてくれそうだから



2016年は変化の年だ。
Brexitとトランプ氏。
日本で言えば小池都知事とSMAP解散。

まあスマップは冗談にしても。



トランプ氏が当選した理由は「インターネットによる錯覚」の成熟に端を発していると思う。





■インターネットによる情報獲得に対する強い権利意識

インターネット、もとよりSNS文化の成熟によって、私たちは物事の裏側を知ることができるようになった。
いや、本当は裏側など知ることは出来ないのだが、できるようになったと勘違いしている。
だからこそ、旧来型の【見せない政治】にうんざりしている人たちがたくさんいる。

インターネットによって様々な事象の様々な裏側を知る権利があると錯覚しきった投票民は小池都知事あるいはトランプ氏が「政治の見える化」をしてくれることを期待しているのだと推測する。



とはいえ実際には民衆には出せない情報は、今までどおり出せないことも現実ではある。
政治の世界では表に出てこない、出来ない事象がたくさんある。

ある程度の学歴、収入、立場がある人たちは、そのことを理解しているだろう。
政治であれ会社であれ、ふさわしく無い相手には出せる情報と出せない情報がある。


ただトランプ支持といわれる労働者階級の中でも低頭脳の情報が降りてこない人たちは、そういうことに嫌気がさしている。

インターネットの発達する以前は社会的地位があがらないと得られない情報がたくさんあった。
そして、いまも挙がらないと手に入らない情報は昔とそう変わらない。
しかしながらネットによる勘違いが起きている。

低頭脳で社会的地位の低い人でもインターネットを使えば、裏側まで知ることが出来ると錯覚している。
SMAPもジャーニーズ事務所もバーニングもLDHも自民党ブラックボックスも東京オリンピック予算も、そうだ。

インターネットとSNSによって身分に関係なく裏側を知る権利があると現代人は錯覚している。


嘘をつかずに「裏側を見える化」してくれそうなリーダー。
小池都知事、ドゥテルテ大統領、そしてトランプ氏。

格差が広がり下層人が増えても1人1票が守られれば、組織の論理にメリットを感じない層に刺さる、これらのリーダーが求められるのは必然であるといえる。

IT長者みたいな人たちがトランプを支持したのも東浩紀氏の言葉を借りれば彼らが「無媒介の人」だからだろう。
組織の中のごちゃごちゃした情報統制にうんざりしている。
インターネットで直接情報をおろしてくれよ、と。


大手メディアの人たちが「分断が起きている」などというテーマでトランプ氏勝利を報道するのは、彼らはインターネットで直接、民衆に情報が降りてもらうと困る側にいるからだ。
弱者の情報に対する権利意識の強まりを大手メディアに籍を置いていれば気づけるはずも無い。


負け組みの多数そして勝ち組の中にも、組織あるいは政治に対して【インターネットがあるのに、何をゴチャゴチャ情報統制しているの?俺たちにも裏側、見せてください】と考えるのがインターネット成熟時代の民主主義の現実なのでは無いだろうか。

インターネットは誰にでも「物事の裏側を知る権利がある(という錯覚)」を植えつけた。
政治に対しても、それを望んでおり、それを与えてくれそうなリーダーが選ばれる。
この傾向を色濃くしたのは2016年だったのではないだろうか。